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診療報酬

令和5年11/29情報!調剤報酬の動向が気になる薬剤師と事務長へ”調剤についてその3”を読んでみる

薬局の経営に大きく影響を与える調剤報酬の改定が2024年にあり、改定の内容が気になる薬剤師・事務長は多いのではないでしょうか。

改定のポイントは効率化と薬局機能の向上にあると考えられます。

その理由は、先日の財務省資料のあと、令和5年11月29日に厚労省から調剤についてその3が公開されたことです。

今回はその資料を読んでみましょう。
※資料を読んでの推論ですので、不確定な改訂の方向性の話であることをご理解ください。

介護報酬についてはこちらにまとめています。

調剤についてその3

そもそも調剤基本料の設定にはどのような要素が考慮されているのか?

調剤についてその3

調剤基本料の設定には、薬局の同一グループの店舗数、立地別、処方箋受付回数・処方箋集中率の区分別の収益状況等が考慮されます。

  • 規模が大きければそれだけ経営効率が良い
  • 立地(=処方箋集中率)が良ければそれだけ経営効率が良い
  • 処方箋受付回数が多ければそれだけ儲かっている

という解釈がなされることが前提としてあります。

調剤基本料1を算定する薬局の割合は年々減少しており、令和4年度改定により新設された基本料3ハの割合が15.3%になったことに伴い、基本料1は70.3%まで低下したことが記載されています。

調剤についてその3

令和4年の改定では調剤基本料3の中に同一グループ薬局が300店舗を超え、処方箋集中率が85%以下の32点の区分が設定されました。

それと同時に300店舗を超え、処方箋集中率が85%超えの16点の区分が新設されたため、大規模チェーン薬局にあたる300店舗以上の薬局の損益差額が最も大きい結果となりました。

結果として大手の出店立地を面分業へ誘導し、調剤基本料の支出を削減する変更となっています。

調剤についてその3

地域支援体制加算や連携強化加算が適用される場合はどうなりそうか

調剤についてその3

地域支援体制加算は、調剤基本料1を算定する薬局、調剤基本料1以外を算定する薬局それぞれについて、地域への貢献をより推進する観点から、地域での健康づくりの取組や認定薬局の認定状況等を踏まえ、地域支援体制加算のあり方について考慮されます。

一方、連携強化加算は、地域連携薬局としての機能を有する薬局に対して、地域医療連携における役割を果たすための構造設備や人員配置等について評価され、加算が適用されます。

地域支援体制加算を届け出ている薬局のなかでも、麻薬の取り扱い実績、重複投薬相互作用防止加算の実績、服用薬剤調整支援料の実績に差が見られました。

そのため、今後これらの項目の実績値を評価に加えることが十分に考えられます。

麻薬の取り扱いに関しては医薬品卸の協力による部分も大きいため、店舗を限定する対応が迫られるでしょう。

調剤についてその3

地域支援体制加算を算定できていない薬局のできていない要因に着目してみましょう。

24時間調剤、在宅対応体制の整備、保険医療・福祉サービス担当者との連携が大きな要因であることがわかります。

そのため、人材の確保、患者の確保、連携のためのアクションが求められます。

後発医薬品調剤体制加算の設定には、どのような基準がありますか?

後発医薬品調剤体制加算は、後発医薬品の調剤数量割合に応じて設定されます。

具体的には、集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合50%以上であることが求められます。

調剤についてその3

処方箋集中率が高い薬局の後発品使用率が高いことから、今後は後発品の使用割合の目標がさらに引き上げられることが予想されます。

処方箋集中率が低い薬局にとって後発品調剤率の引き上げは、達成が厳しい要因であることがわかります。

一方、医薬品の流通問題は今後も継続するでしょうから、配慮がなされた制度でないと業界の理解は得られにくいでしょう。

(2023/12/10追記:先発医薬品の自己負担を引き上げる方向で議論がなされている状況です)

新たに注目された要因1:RMPに基づく患者向け資材の利用

薬剤師が特に充実した服薬指導が必要と考える場面として、新規患者、薬の処方変更、副作用の発現が疑われる場合の三つがあげられています。

特に充実した服薬管理指導が必要と考える場面において使用する資材として、通常の服薬指導の際に用いている「薬剤情報提供書」が67.5%のほか、「RMPに基づく患者向け資材」が31.7%使用されていたことがわかりました。

RMPとはリスク管理計画の略で、業務の手順書にRMP資材を利用して服薬指導を行うことや患者への配布利用をしていることの重要性に着目されています。

RMPに基づく患者向け資材の調査(n=423)によると、情報資材を渡した方が有害事象の対策をとった患者が多かったことがわかっています。

そこで、新規患者、薬の処方変更、副作用の発現が疑われる場合の三つの場面にて、RMPに基づく患者向け資材による情報提供を評価する調剤報酬が新設を検討されているのではないかと考えます。

今できる対策としては、採用薬品のうちRMPに基づいた情報資材があるものをピックアップし、業務の手順に利用することを盛り込んでみてはいかがでしょうか。

新たに注目された要因2:認知症患者に対する服薬指導

認知症の患者自身は薬の管理を行うことが難しく、一包化や服用日時の記入による対策が必要となります。

服薬状況を把握するためには、患者の生活環境の把握も必要となってきます。

そのため、薬剤師が服薬管理を行うことにより残薬の解消、アドヒアランス向上が期待できます。

事例としてあげられているのは一包化に服用のタイミング毎に色分けラインを引き視覚でわかりやすくする工夫をしたり、日めくりカレンダーに一包化した薬を貼り付ける工夫によるものがありました。

令和4年の改定にて一包化は調剤料の一包化加算から外来服薬支援料2へ移行した経緯があります。その点はこちらの記事で解説しています。

認知症が悪化することで介護者の負担が増えることは社会問題となっています。

医療ではなく介護保険の報酬改定に薬剤師の介入が評価される項目が新設されることも考えられます。

新たに注目された要因3:薬剤服用歴の記載に係る負担軽減の取組

薬剤師業務の負担が大きい業務内容の中に、薬歴記載があります。

薬局単位での負担軽減の取組の内容としては、記録内容の簡素化や運用方法の見直しが多く実施されていました。

しかし、一方で42.8%の薬局は”実施する予定はなし”と回答しています。

実施している薬歴記載の負担軽減の中で着目されているのが、音声入力やボイスレコーダーを活用した記録の代行入力AIを活用したアセスメント支援システムです。

システムは一度入れてしまえば効果がずっと発揮されるため、現場に実施する意向がなくともマネジメント層が導入をする介入が考えられます。

医療情報システム基盤整備体制充実加算が導入されたことをふまえ、今後も加算や補助金で高率化を進めていくことが考えられます。

そもそも医療情報・システム基盤体制充実加算やオンライン資格確認がよくわからない方はこちらの記事をご参考にお読みください。

おおまかにななめ読みしただけである程度は国の方向性が読めてきますね。

内容を踏まえ、よりよい薬局を目指して業務改善していきましょう。

過去の改定内容との差を考慮することで、点と点がつながるため、前回の令和4年の改定前の資料の読み解きについてはこちらをご覧ください。

診療報酬改定に対応できない職場に留まる必要は無い

現在勤務している薬局は、令和4年の改定の際に地域支援体制加算の算定に向けた目標設定や取り組みはいかがでしたでしょうか。

情報提供書の作成や在宅医療の患者を受け入れる体制の準備、タスクシフトを考慮した業務フローの見直しがそれにあたります。

これらの内容は店舗のメンバーが力を合わせて行う必要があり、自分だけで行うには限界があります。

自分だけで薬局の改善に取り組むよりは職場を変えた方が早いです。

転職サイトに登録し、自分が取り組んできた改善についてをエージェントに話してみましょう。

調剤報酬改定に対する取り組みの負担を一人で抱える必要はありません。

転職サイトの登録はどちらかで十分です。登録するだけでも視野が広がります。

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