薬剤師国家試験の合否が発表され、無事合格された方おめでとうございます。
国家試験の勉強に専念している間はどうしても他の情報を遮断しがちですが、薬剤師を取り巻く環境に変化があります。
それは、国が医療DXを推し進めていることです。
令和4年10月から薬学管理料の加算に医療情報・システム基盤体制充実加算が新設されました。この加算は薬局の事前準備が必要です。薬局が設備を用意して申請条件を満たした上で申請書を提出したかで算定できるかどうかが決まります。※もともとあった電子的保健医療情報活用加算は令和4年9月30日をもって廃止となっています。
大まかな申請条件は下記となります。
- レセプトのオンライン請求をしている
- 保険情報確認のための顔認証端末を設置している
- 医薬品の備蓄状況を地域の医療機関に共有している
- 加算を算定する申請を行った
これにより算定の準備を整えましょう。そして患者が来た際にはマイナンバーカードによる情報取得の有無により医療情報・システム基盤体制充実加算1を算定するか2を算定するかが分かれます。※1と2を同じ6月の期間内に算定することはできませんので注意が必要です。
マイナンバーカードにて患者の情報取得の同意がとれ、併用薬や検診の情報が入手できた場合は医療情報・システム基盤体制充実加算1が6月に1回算定できます。取得できた情報のうち、併用薬や過敏症の既往歴等の薬物治療上有益な内容を薬歴に記載しましょう。
情報が取得できなかった場合、医療情報・システム基盤体制充実加算2が算定できます。2の場合は1と異なり得られる情報がありませんが、薬歴に記載が必要な内容があります。
医療情報・システム基盤整備体制充実加算2を算定する。なお、薬剤服用歴等に、オンライン資格確認等システムを通じて情報の取得を試みたが患者の薬剤情報等が格納されていなかった旨を記載すること。
医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)
ほぼ定型文で済むような内容ですから「オンなし」と入力したら「情報の取得を試みたが患者の情報が格納されていなかった」などの辞書登録しておくと便利です。
医療情報・システム基盤体制充実加算1は3点(令和5年12月までは実質4点)、医療情報・システム基盤体制充実加算2の場合は1点となります。患者はマイナンバーカードを持っていて情報の取得に協力すると負担が少なくなる制度です。
薬局で「オンライン」と言えばだいたい3つを指している
薬剤師に近年なられた薬剤師の場合、実務実習に参加していたころは、感染症全盛期で接触リスクを下げることができるオンライン服薬指導が注目を浴びていたのではないでしょうか。ところが、現在は薬局では主に3つのオンラインという用語があります。
- オンライン資格確認
- オンライン服薬指導
- オンライン請求
紛らわしいかと思いますので、大まかな説明を記載します。
オンライン資格確認はマイナンバーカードを利用して患者の保険情報が有効であるかどうかを確認する仕組みです。保険証が変わるタイミングでまだ保険証が届いていない患者が保険が変わったことを薬局に知らせずに受診すると、保険が使えないためレセプトが返戻されます。こういったことを防ぐために保険を確認します。
オンライン服薬指導は情報通信機器を用いて非対面で服薬指導をおこなうことを指します。動画通話機能を利用して薬の説明を行ったのち、薬剤を送付する対応になります。管理料の中の「情報通信機器を用いた服薬指導」がキーワードとなります。
オンライン請求はレセコンから保険請求情報をオンラインで送信することを指します。紙よりも早く支払い基金の処理がなされます。従来は紙で保険点数がいくらかを計算して送付していたらしいです。(平成薬剤師の私は経験ないのです...)
「マイナンバーカード」の利用方法は現状だいたい二つ、レアケース一つ
マイナンバーカードの利用には主に二つのパターンがあります。厚労省の資料では「MNC」と略されたりします。保険情報が有効かどうかを確認するオンライン資格確認と、医療情報の共有をするための認証を取得する用途で使われます。
レアケースとして電子処方箋の発行に関係しています。電子処方箋は一部の医療機関に限定された対応となっているため、令和5年3月時点ではレアケースとなり今後の普及が望まれます。
薬の名前だけでなく、横文字が並ぶと混乱する方はいるのではないでしょうか。安心してください、現場のベテランの方はもっと混乱していることですから若い力を役立てましょう。